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方言はけっこう重大です。 FPベンゴシ

こんにちは。

FPを中心とした専門家ユニット 

‘なないろ福円隊’ 

北海道出身で、30年以上前から日本ハムファイターズファンであることが自慢のFPベンゴシです。

日本ハムCS突破おめでとう!

 

 

さて、みなさん、「ばくる」って何のことだか分かります?

 

「交換する」って意味です。

北海道のどの辺の地域で使われているのか知りませんが、釧路では使っていました。

 

 私は、言語学者の井上史雄さんの日本経済新聞連載が好きで毎回読んでいるんです。

 この前はこんな記事で、へえ~と思いながら、知人の話を思い出しました。

「方言は人の命に関わる」 井上史雄 2016/10/16  日本経済新聞朝刊

 方言は命に関わる。何しろ方言殺人事件がある。一つ目はことばの取り違え、誤解にもとづくものである。
 戦後まもなくのある村の話。遠くから嫁入りした人のところに近所のおばあさんが来て「お嫁さんのまんじゅうです」と言って、まんじゅうを置いていった。
 食べたその嫁さんは苦しんで亡くなった。その地方の方言ではねずみを「お嫁さん」と言っていた。ねずみ退治の毒餌だったのだ。  
 方言のおかげで殺人未遂になりかけた例もある。傷害事件で検事はこう主張した。
 「加害者は『クルサリンドー』と言っている。『殺されるぞ』である。本件は殺人未遂事件である」。沖縄方言では「ぶつぞ」ほどの軽い脅しことばなのに。  
 方言がからんで、いじめによる自殺になりかけた例もある。
 岡山県に転校したこどもが、クラスメートに「シネー」と言われた。「死ね」と受け取って、親が訴えた。岡山の方言で「しなさいよ」を「しねえ」と言ったのを誤解したのだ。

 (注、ネットで調べただけですが、「クルサリンドー」はけっこうきついニュアンスの言葉のようです)

 「ばくる」とか明らかに方言であることが分かる言葉は良いのですが、他地域ではほかの意味になってしまう方言は、間違ったことに気付きにくいので、ときに大変な出来事になりますね。

 

 弁護士をしている東京出身の私の知人が中国地方におります。

 その彼がこんな話をしていました。

 裁判中「借りる」と「買う」の意味を間違えて、話が通じなかった。

 その違いを裁判官も分かっていなかったみたいだ、という話をしていました。

 

 どうも、西日本では、

「かった」=「借りた」で、

「借りてくる」は「かってくる」と発音し、

「買ってくる」は「こおてくる」と発音するのですね。

 

 裁判官や検事は、地域との癒着を避けるということで、2~3年で転勤してしまうことが多いんですよ。

 ですから、裁判官や検事さんも、地元の言葉をしっかり理解するのは無理なんです。

 しかし、だからといって、裁判なんかで、勘違いが起こったら困るわけです。

 そんで、方言による勘違いを防止するには、地元出身などの地域事情に通じた弁護士の存在が重要になるんだと思うんですよね。

 

 ところで、弁護士等の資格試験である司法試験受験のためには原則として法科大学院に通う必要があります。

 その法科大学院、特に地方の法科大学院がつぶれていっており、生き残る法科大学院は大都市部のものになってきています。

 

 また、法科大学院の授業料は高いのです。

さらに、司法試験合格後の必修研修である司法修習は、以前は有給でしたが、今は無給になってしまっています。

 司法修習中はアルバイトもできないので、親などから生活費をもらえる人は良いのですが、そうでない人は借りるしかありません(無利子の貸与制度があります)。

そのために、弁護士になるときには、数百万円の借金を負う人が多くいます。

 

 こんな状況で、いろんな地域から広く弁護士になる人材を求めることを期待することは困難であるように思われます。

 

 地元出身弁護士による方言勘違い事件防止策はどうやら見込み薄のようです。