皆さん、こんにちは!
札幌の FPを中心とした専門家ユニットなないろ福円隊
福円隊の自称いやし系担当、行政書士の梅ちゃんこと梅澤です。
さて、私は普段判断能力が不十分になってしまった方の財産管理をする仕事をしておりますが、遺言書のご相談を受けることも多くあります。
また遺言書が必要と思われる方には、その作成もお勧めすることがあるのですが、その中でよく聞かれる言葉が「うちは財産なんてないから遺言書なんていらないよ。」です。
生活保護を受給している方などにとってはそれはその通りなのですが、現職のときにサラリーマンだったような方などいわゆる普通のご家庭であっても、皆が本当に遺言書はいらないのでしょうか?
今回はこのことについて典型的な具体例を挙げながら少しお話をさせていただきます。
まず当然のことながら、皆がみんな絶対に遺言書が必要というわけではありません。
必要と思われる典型例の1つが以下のような方です。
夫Aさんには妻Bさんがいて、子どもはありません。
父母と弟Cは既に他界し、妹Dと姪Eと甥Fがいます。
この夫Aさんように子どもがいない方には、遺言書を準備することをおすすめすることが多いです。
それは以下のような理由からです。
この状況で夫Aさんが遺言書を遺すことなく亡くなったときに、Aさんの遺産を相続する権利があるのは、妻B、妹D、姪E、甥Fの4人となります。(子どもがいないとこうなります。)
そして、夫A名義の預貯金を下ろすなどしたい場合には、この4人全員で遺産分けの話し合いをして遺産分割協議書というものを作成しなければなりません。
妻Bとしては夫A名義の預貯金とはいえ、夫とともに作りあげてきた財産だという思いもあるでしょう。
それに、夫の姉弟や甥っ子、姪っ子と話し合うということはそれなりに大変です。
「おじちゃんのお金だから全部おばちゃんがもらってね。」と言ってくれる甥姪はあまりいません。
「法律どおり分けてください。」と言ってくるのが普通です。かなりお付き合いがあってもです。
また、遺産分けの話し合いは全員が賛成しなくてはならず、1人でも反対をする人がいると成立しません。
この話し合いが長引くようなことがあれば、その間妻Bさんはその預貯金を使うこととができないということになります。
特に妻Bさんが専業主婦だったとかいう場合には、年金の額が少なくその預貯金無しでは生活にもこと困るという事態にもなりかねません。
ここで夫Aさんが「全ての財産を妻Bに相続させる。」というような遺言書を準備しておけば、上のような話し合いをしなくても、妻Bさんは1人でその預貯金を下ろして使うことができるようになります。
つまり、遺言書なしの通常の相続よりも簡単な手続きでかつ、スピーディーに財産を移転することができるのです。
夫Aが遺した財産が多額かどうかということはあまり問題ではないんですね。
上はほんの一例です。
・遺言書を作った方が良いのか?
・作るとしてどのような内容の遺言にするのか?
といったことを考えるためにはたくさんのことを検討しなければなりません。
ちょっとでも「私、遺言書って必要なのかな?」を思われる方は、弁護士・司法書士・行政書士といった専門家に相談することをおすすめします。
きっと良いアドバイスがもらえると思います。