皆さん、こんにちは!
札幌のFPを中心とした専門家ユニットなないろ福円隊
今週の担当は、行政書士の村上です。
今日お話する「公正証書」ですが、以外に身近に利用するシーン
があったりします。 例えば・・・
色々な契約書や遺言、離婚の際に作成する離婚協議書など、公正証書
にしておくと、より確実にその内容を証明することができます。
例えば、友人にちょっとお金を貸すというような場合、普通「いつまでに返してね」といった約束をすると思います。
お金を貸します⇔いつまでに返します これも立派な契約です。
契約というと、分厚い契約書にサインと印鑑を押してといったイメージがあるかもしれませんが、口約束でも有効に
成立します。契約には、書面の作成は必須事項ではないんです。
では、なぜ色々な物を買ったり、お金を借りたりする時には「契約書」を作成するのでしょうか?
それは、「契約書」には約束事の確認と証明という重要な役割があるからなんです。
例えば、先程のお金を貸しますというお話です。
AさんがBさんにお金を貸したとします。Bさんは借りるときに、3日後に返しますとAさんに約束を
しました。ところが、約束の3日後になってもBさんはお金を返してくれません・・・ Aさんが文句
を言うと、Bさんは来月の3日に返す約束だったと言いだしました。
お金の貸し借りをした時のやり取りは、二人しか知りません・・・・
こんな場合には、どちらかが聞き間違ったのか、それともウソを言っているのか、そこを判断する
基準がありません。
しかし、もしお金のやり取りをしたときに、双方がメモなどでいつ返すのかを記載しておけば、
言い間違いや勘違いと言ったトラブルを防ぐ事ができますし、ウソを言っていたとしても、
そのメモを証拠とすることでトラブルを防ぐ事ができます。
そういった証拠能力をより確実なものにする為に、書面での約束=契約書を作成すると言うわけです。
契約書には、決まった書式等は特にありません。当事者が契約の内容を確認できれば良いと言うことに
なります。ただ、もしトラブルになってしまった場合に、契約書の内容に不備があったりして証拠とし
て不十分であるようなケースや、契約書を紛失してしまうといった心配も出てきます。
そこで、そういった問題を解消するための一つの手段として、「公正証書」というものがあります。
公正証書とは、公証人が作成する公的な文書のことを言います。
公証人とは、公証役場で事実や契約行為などの証明や認証を行う公務員で、裁判官や検察官などの
職に就いていた法律の専門家から選任されます。
公正証書の基本は契約書です。内容自体は通常の契約書と
大きな違いはありません。
しかし、もしその契約を巡ってトラブルとなった場合に、
公正証書は法律の専門家である公証人という第三者が作成
した公文書ですから、事実を証明する上で、非常に有力な
証拠となります。さらには、自宅等に保管をしておいた場合
は、紛失や改ざんといった恐れもありますが、公正証書に
しておけば、原本が公証役場に保管されているので、そのよ
うな心配もありません。
また、金銭の貸し借りといった契約では、公正証書にしておくと、債権者は債務者に対して、債務を確実に
履行するようにプレッシャーをかけることができるというメリットがあります。
公正証書を作るという手続き自体、公的な機関を介して厳正に行われますから、その部分だけでも債務者に
確実な履行を求めているというアピールになります。
債務者が履行を怠り、訴訟というようなことになった場合にも、公正証書があれば債権者は債務の存在を確実
に立証できますので、債務者にまず勝ち目はありません。
こういった事を理解している債務者であれば、まず契約通りに債務を履行しようとするでしょう。
また、公正証書にしておくことで、裁判手続きをしないで強制執行することができる場合もあります。
強制執行とは、債務者の財産を売却するなどして強制的に契約の目的(支払い等)を達成することです。
通常、契約を履行しない場合には、
訴訟を起こす → 勝訴する → 債務者が判決に従わない → 強制執行を申し立てる
このような手順を踏む必要がありますが、公正証書を作成した際に、「強制執行認諾約款」を記載して
おけば、いきなり強制執行を申し立てることができます。
訴訟には、費用も時間もかかることになりますので、この公正証書のメリットは非常に大きなものと
言えます。例えば離婚の際の養育費の約束をする場合には、特に有効な方法と言えます。
※公正証書で強制執行ができるのは、金銭を支払う債務や株式など有価証券を給付する債務に限られています。
公正証書を作成する際には、手数料が必要になります。その金額は契約の種類や目的価格によって変わって
きます。また、文案の作成を専門家(弁護士や行政書士など)に依頼する場合には、報酬も必要になります。
公正証書がよく利用されるケースとしては
・債務弁済契約
・金銭消費貸借契約(お金の貸し借り)
・賃貸借契約(土地建物の契約など)
・遺言
・離婚(離婚の際の約束、養育費・慰謝料など)
こういったものがあります。
また、公正証書の作成が義務付けられているものもあります。
・任意後見契約を結ぶ場合
・事業用定期借地権の設定
・マンションなどの管理規約
このように、以外に身近な所にも公正証書の利用シーンがありますので、
必要に応じて、公正証書の作成を検討してみてください。
以上、行政書士のyoshizo-でした!