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お一人さま老後は怖くない!?(遺言書編)from梅ちゃん


皆さん、こんにちは!

札幌の FPを中心とした専門家ユニットなないろ福円隊

福円隊の自称いやし系担当、行政書士の梅ちゃんこと梅澤です。



私は普段判断能力が不十分になってしまった方の財産管理をする仕事を中心に、相続や遺言といった分野のご相談に応じています。

    

最近はご自分で色々と調べた上で、「自筆証書遺言を書きたいんですけど書き方を教えてくれますか?」といった、具体的なご相談にいらっしゃる方が増えてきています。 


そこで今回は、私が遺言書の作成をお手伝いさせていただいている中で、みなさんにアドバイスしていること等を書いていきたいと思います。



遺言とは、遺言を残した人(遺言者)が亡くなった後に、例えば「この財産はあの人にあげたい。」

といった遺言者の意思を実現するための制度をいいます。


遺言をするためには、「私が亡くなったら財産をあげる。」というように口で伝えるだけではだめで、

書面にする必要があり、この書面を「遺言書」といいます。



なぜ書面にしなければならないかというと、遺言の効力が生じる時には、遺言者は亡くなってもうこの世にはいませんので、

遺言の内容が本当にその人の意思であったのかを後から確かめることができないからです。(死人に口無しですね。)


なので、遺言の残し方は法律で決まっていて、それ以外の方法で残してもその効力がないということになっています。




普通、一般の方が作成する遺言書には、


1.「自筆証書遺言」


2.「公正証書遺言」

 

という2種類があります。


制度上「秘密証書遺言」というものもありますが、実務上検討することはありませんので、ここでは考えません。

「自筆証書遺言」とは、その名の通り自筆で遺言書を作成する方法です。

 

「公正証書遺言」とは、公証人に遺言書を作成してもらう方法です。

 

公証人とは、裁判官、検察官、弁護士の資格を有する者等の中から選ばれて法務大臣から任命された国の公の機関をいいます。

(難しいですね。平たく言うと、偉い法律の先生です。)

 

そして公正証書とは、この公証人が「この人の言ったことに間違いありません。」と証明した書類のこのです。

 

 

よくいただくご質問(というか必ずきかれますが)に「自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらが良いですか?」

といういうものがあります。

 

答えは、「公正証書遺言にしてくだい。」です。

実際に私がお手伝いさせていただものは100%公正証書遺言になっています。

それは以下のような理由によります。

 

 

自筆証書遺言は、遺言者遺言書の全文と日付をすべて自分で書き、署名押印することで作れます。

したがって、字の書ける人なら誰にでも自分一人で作れますので、比較的簡単に作ることができ、

費用もかからないということが利点として教科書などには書かれています。

 

一方、公正証書遺言は、公証人に作成してもらわなければなりませんし、証人も2人必要です。

また、公証人に支払う費用もかかります。

 

公正証書遺言の利点としては、

1.法律的・内容的に間違いのない遺言が作成できる

2.病気などで自署できない人でも、口がきければ作成できる

3.失くしたり、偽造されたりというおそれがない

などということがあげられます。

 

これは公証人という専門家が関わっていますので当然のことです。

 

しかし、実務上一番の理由は、「争いになることが少ない」ということです。

 

この争いには2つ意味があります。

 

 

1つは、相続人間の争いです。

 

遺言内容に不満を持つ相続人は、遺言者の遺言能力の有無など、その作成過程に疑問を持ち、

納得しないことがあります。

しかし公正証書で作成しておけば、その効力が争われることはほとんどありません。

(感情的に文句を言われたりはしますが。)

 

 

もう1つは、実際に遺言書を持って手続に行った時の金融機関の対応です。

 

金融機関では自筆の遺言書を持って行っても、手続をしてくれないところがあります。

「これでは手続ができませんので、相続人全員の承諾をとってきてください。」と言われるわけです。

 

そもそも遺言書を作ろうという動機は、相続人間の争いが予想されるとか、相続人が行方不明だとか、

奥様に全部の財産をスムーズに渡したい、などということのはずです。

 

それなのに、相続人全員の承諾を求められるとすれば、遺言書を残した意味がなくなってしまいます。

 

これが公正証書であれば上のような心配はいらなくなるといえます。

 

 

また、公証役場の敷居が高く感じられるせいなのか、公証人手数料を心配されるせいなのか、

「なんとか自筆でしたい。」と言われる方もいらっしゃるのですが、実際は公証人の方はみな親切ですし、

公証人手数料も5万円から10万円位ですむ場合が多いです。

 

「公正証書と全く同じ文章なら自筆でも良いだろう。」と言われる方もいらっしゃいます。

これについては、仮に公正証書の原案と一言一句同じ内容の自筆証書遺言であっても上のような問題はなくなりません。

公正証書であるということそれ自体に意味があるのです。

 


来週の今週の小人は、福円隊のリーダーFPまりりんです。

 

お楽しみに!