みなさま こんにちは。
FPを中心とした専門家ユニット なないろ福円隊
今週の小人(blog)の担当は
福円隊のリーダーで お金と家計の専門家 FPまりりんです。
今日のテーマは 日本人にモテモテの「繰り上げ返済くん」について。
なんで、モテているかは皆さんご存知の通り、左の図でもわかるように、ローンを組んで早めに、ある程度のまとまったお金を返済すると その分にかかるハズの支払い利息がまるごとなくなるというメリットがあるから~!!
とにかく勤勉で働きモノで借金は嫌~という国民性が後押しして、繰り上げ返済くんは、ロングモテ期を更新中でございます。
住宅ローンだけを考えた時には
繰り上げ返済くんは メリットがとても大きく感じられます。
このこと自体は間違いではありません。
(住宅ローン、教育資金、老後資金 それぞれ単体で考えしまっている)
でも、
・繰り上げ返済をした時期には お子さんが幼稚園や小学生で 教育費がまだそんなにかかっていない
・子供が大学を卒業した後に 老後資金の準備をするのは 実は難しいということに気づいていない
・住宅の維持費を考えていない
(戸建ての場合 壁の修繕費はかなり大きいですし、マンションも修繕積立金では足りずに一時金として100万円払うことになってしまったところもあります)
などの場合
・後で 資金不足になり 住宅ローンより高い金利のローン(リフォームローンや教育ローンなど)を借りることになってしまったり
・今迄のような生活ができなくなり、非常に苦しい生活になってしまう可能性があります。
・その中には、結局生活苦になり 住宅自体を手放す人も・・・・
つまり、本末転倒な結果になっている方が多くいるということです。
更に
病気やケガで働けなくなるリスクを考えていない、
もしくは軽視しているから繰り上げ返済ができるんだと思います。
病気やケガで働けなくなり10年以上寝たきりの方の場合 住宅ローンがどうなると思いますか?
働けないというだけでは 住宅ローンは免除になりませんよ?
私が直接お聞きしたケースでは 難病と認定されてから10年経つまでは住宅ローンが免除になりませんでした。
免除になった時には、ご本人の判断能力が厳しく、全てのことに介護が必要な状況でした。
長期間 住宅ローンを払うことができる家計を保ってきた奥様は本当に立派な方です。
また、ご本人の職場環境に恵まれていたことで、収入減が 一般的な方よりは抑えられた点も助かったと思います。
普通の民間の会社勤めをしていて、病気やケガで働けなくなり、それが長く続いた場合
会社を退職することを余儀なくされ
生きているわけですから、死亡保険金は払われず
(よほどの状態になると高度障害と認定され保険金が支払われますが、それは先ほどの例だと10年かかったことになります)
住宅ローンも免除にならず
子供の教育費がかさむ時期になり
夫の介護に追われ、精神的なケアも必要で とても気を使い
生活費が不足するため、奥様がパートに出て
なおかつ将来を考えると不安だから正社員で働くところを探す
ということも ありうるわけです。
ほとんどの方は
よく起こりそうなことに対策をたてます。
例えば、入院費に備えるために 色んな保険会社の保険を比較検討して医療保険に加入していますね。
その反面
滅多に起こらないこと、人生で一回も起こりそうもないと思うことには備えていなかったり軽視しています。
寝たきり(働けない)のリスク
他人やモノへの賠償リスク
への備えが 主に漏れており
火災保険や自動車保険の内容を自分に合わせることができていません。
(これは販売者の問題でもありますが)
もし60日入院した場合と10年働けなかった場合
どちらの方が 資金繰りが大変でしょうか?
普通に考えて後者ですよね。
前者は 健康保険が適用になる治療と考えると数十万円の自己負担、後者は所得の額によって違いますが数千万円の所得減と考えられます。
Aさん・繰り上げ返済1000万円をして あと2000万円のローンがあるAさん
手元資金は200万円しかありません。
Bさん・繰り上げ返済せずに 手元資金が1200万円あるBさん(ローン残は3000万円)
もしもローンの契約者であるご主人が寝たきりになり長く働けない状態になった場合
手元に200万円しかないAさんと 1200万円あるBさんでは どちらが資金繰りに余裕があるでしょうか?
Bさんは 色々対策をたてることができます。
運用益で生活費を生み出すことだってできます。
住宅ローンを払い続けるお金も 当面はあります。
数十万~数百万の得をすることを実行し、数千万~数億円のリスクを無視している事実
みなさん お気づきではないようです。
広島の土砂災害の時も 東日本大震災の時も 重い病気を煩ったり、ケガで後遺症が残ってしまった方も
「まさか自分がそんなことになるとは」と思った方がほとんどではないでしょうか。
私は お客様のリスクマネジメントにおいて「まさか」も含めて どう備えるのか考えていきます。
みなさんは まさかと お得 どちらを優先していらっしゃいますか?
ところで
2011年に出版された こちらの本 なかなか面白かったですよ。
この中では 「くりあげ返済教」として紹介されていて、
繰り上げ返済のことを「上納金」と表現していました(笑)
そして
「繰り上げ返済をしてもいいのは、教育費と老後資金の準備が十分に出来た上で、更に余剰金が生まれた時だけ」
「本当に繰り上げ返済をする資格があるのは、ローンを組んでいる者全体の10%くらい」
と書いてありました。
私は 何%が適当なのかわかりませんが、私の印象でも 10%くらいかな?と納得致しました。
※十分な教育費と老後資金が 今現在 満額揃っていなくても その積立計画と 住宅ローンの返済計画が両方大丈夫であれば、準備ができていると考えて良いです。
※この本は これから住宅を買う人向けの本ではありますが、住宅ローンについての迷信を取り払う勉強にも適しております
そして、教育費と老後資金の準備が万全で 更に余剰金が生まれる方は
私のお客様の中にも何世帯がいらっしゃいますが 資産運用を活用して
ローン利息負担分(年)< 運用効果(年)
を毎年確認しております。
その為、間違っても 繰り上げ返済をしようという発想にはなりません。
今迄も私の個人ブログで何回かお伝えしていますが
ローン利息負担分が 年間30万円で
運用効果が 年400~500万円あるのに
繰り上げ返済がお得とは思わないわけです。
ポイントを整理しますと
・住宅ローンだけを考えず、全ての資金準備を合わせて考える(生活費やレジャー費等も含めて)
・今だけではなく、5年後、10年後 その先にある老後までの「時間」を含めた資金計画をたてる
・目先のお得ばかり考えずに、全体のリスクマネジメントを考える
その上で 余剰金がある方は
・繰り上げ返済をするのか、資産運用・活用をするのか検討する
今日のお話しは 先日 金沢から来札しセミナーをしてくださった谷崎さんがおっしゃっていた
やり方 と 在り方
のお話しです。
手段(やり方)をあれこれ考えて実行しても
在り方(自分の人生全体に通ずること)に合わせていなければ、本末転倒になる可能性が高い
ということです。
皆様の参考にしていただけると幸いです。
在り方を お金の点を中心に見つめていくのには ライフプラン(キャッシュフロー表)が適しております。
まだ、作ったことがないという方は
11月9日(日) 13:30~15:30 に 福円隊セミナー 「自分で作る10年ライフプラン」を開講しますので、是非お越しください。
詳細と お申込みは HP内のコチラにて
講師を務めるのは福円隊メンバーの マネーバランスFP・小林ふきちゃんです。
来週の小人(boog)は ふきちゃんが担当しますので、お楽しみに~~~♪