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人を殺した者は・・・・ 法律を学ぶってどんな感じ? (From FPベンゴシ)

どうも。

 

札幌のFPを中心としたお金と暮らしの専門家ユニット なないろ福円隊 FPベンゴシです。

 

さて、FPベンゴシは、弁護士を仕事の一つとしております。

 

「ベンゴシです」っていいますと、

 

 

 

ってかなりの頻度で聞かれます。

 

まぁ・・サングラスしたイカには聞かれませんけど・・・・

 

さて、答は、「覚えません」だと思います(他の弁護士は知りません)

 

勉強していると自然と重要な条文は覚えてしまいますが、条文を覚える、こと自体を目的とした勉強はほとんどしません。

 

弁護士、裁判官などの法律家に求められる能力は、法律を読み解く力であって、覚えていることではないと思いますねぇ~。

 

読み解く力ってなにか?っていいますと、こうだろうと思います。

 

▲▲場合に、○○という法律の条文が使えて、結果□□となる、って作業ができることです。

 

非常におおざっぱに言ってしまえば、法律は広い意味で社会秩序維持の道具です。

 

その道具が、どんな時に、どんな風に使えて、その結果どうなるか、がわかる人たちが法律家なんだと思います。

 

さて、法律家がどんな勉強をしているのか?ちょっとご紹介しましょう。

法律っておおむね、こんな構造になっています。

 

ある「要件A」、「要件B」、「要件C」が書いてあって、それら「要件A・B・C」が揃うと「効果」が発生する、って感じです。

 
刑法199条は殺人罪の規定ですが、こうなっています。

刑法199条(殺人)       

  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

 
要件1  「人」
要件2 「殺した」
要件3 「者」
効果  「死刑又は無期もしくは5年以上の懲役」
って構造になっています。
 
そこで、私たちは、じゃあ「人」ってなによ?ってことを学ぶのです。
 

 

 

 

まあ、確かにそうなんですが・・・・・

 

そういうことじゃないんだよな・・・・

例えば、

女性のおなかの中にいる胎児は「人」でしょうか?

確かに、生物学的には人でしょう。

胎児であっても。

 

しかし、刑法199条にいう「人」に該当するか?

 

そりゃ該当するでしょ。

っていう意見ももっともなのですが、実はそうではありません。

 

刑法には、215条に堕胎罪ってあります。

刑法215条(不同意堕胎罪・ふどういだたいざい)  

女子の嘱託を受けないで、又はその承諾を得ないで堕胎させた者は、6月以上7年以下の懲役に処する。

 

他人が胎児を殺した場合は、この不同意堕胎罪に該当する、というのが刑法の考えなのです。

 

刑法は、既にお腹から生まれた人とまだお腹にいる人(胎児)とを区別しており、別々の保護の仕方をしているのです。

(その是非は別に問題になり得ると思いますが・・・)

ちなみに、お腹から一部でも出てきた瞬間から刑法199条の「人」に該当すると考えられています。

 

では、次に、「心臓と呼吸が止まっている人」は199条にいう「人」でしょうか?

 

つまり、「死んでいる人」は199条の「人」に該当しますか?

そのとおりでして、死人は死にません。

 

だから、死体に拳銃を撃っても殺人既遂罪にはなりません。

既遂罪ってのは、結果が生じた場合です。殺人既遂罪は、人が死んだ場合のこと。

これに対し、未遂罪ってのは、犯行はおこなったんだけど、結果が生じなかった場合のことです。殺人未遂罪は、人を殺そうとしたんだけど、死ななかった場合です。

 

さて、実は、死体に対する殺人未遂罪はあるのです。

 

これは、人を「殺」すとはどんな行為か?つまり「殺人行為」とは何か?という問題です。

殺人行為をしたとなれば、結果が発生しなくても未遂罪になるのです。

 

典型的には、ナイフで刺そうとした、とか、拳銃を撃った、バットで殴ったなどでしょうね。

しかし、

例えば、「砂糖を飲ませる」行為は「殺人行為」でしょうか?

 

普通砂糖を飲ませる行為は殺人行為とはいえないでしょうね。

 

人にどんなに砂糖を飲ませても、「死」という結果は発生しそうもありません。

 

しかし、重度の糖尿病の人に対して行った場合はどうでしょうか?

 

この場合は、殺人行為になりそうです。

 

ここで考えられているのは、具体状況に置ける「危険」でしょうね。

普通、砂糖では「死」という結果が発生する危険はない。

しかし、状況によっては「死」という結果が発生しうる。

その場合は、死を引き起こす危険な行為、つまり殺人行為だ!となるのです。

 

では、この「危険」ってどうやって判断するのだろうか?

例えば、

誰が見ても青酸カリ(瓶には「青酸カリ」と書かれいている)を盗んで、人にのませた。

犯人も、当然その瓶の中身は青酸カリだと思っていた。

しかし、間抜けなことに、なんとその瓶に入っていたのは青酸カリではなく無害な粉だった、という場合は、殺人行為になるでしょうか?

 

 

 

そ・・そんなこと言わないで・・・ここまで来たんだから最後まで・・

 

 

 さて、ここで考えるのは、危険の判断基準です。

 

殺人罪は、人を殺す行為をしたものを処罰することで、人を殺そうとする行為を禁圧・抑制するために作られた法律です。

 

その法律の目的に照らして、どのような行為を殺人行為として処罰すべきかを考えるのです。

 

一つの考え方は、絶対に結果が発生しない以上は、危険な行為ではないから殺人行為にならない、というものでしょう。

これは、あくまでも事後的かつあらゆる事情を科学的にみて危険を考えようというもので、いわば神の視点からみて、危険かどうか考えようというものです。

 

他方で、刑法は人に刑罰を告知して働きかけて、犯罪を抑止するものだ、と言う考えを持つと、

たとえ神の視点から見て危険ではなかったとしても、一般人からみて、危険な行為は禁圧しておかないとこまる、という考え方もできる。

結果が発生するかどうかは、偶然であって、重要なのは、結果が発生しそうな行為を禁圧することである、と考えるのです。

そうすると、一般人からみて人の死を引き起こす行為は、殺人行為として、禁圧すべきだ、ということにある。

 

そうすると、先の例で、青酸カリの事案は、事実は無害な粉でも、一般人から見ても青酸カリを人にのませる行為は殺人行為だ、ということになります。

そう!そのとおり!

 

たとえば、自動車で寝ている人に向かって拳銃を発射して、見事打ち抜いた。

しかし、死体を解剖してみたら、実はすでに脳卒中で死んでおり、死因は脳卒中だった、というような場合です。

これは、神の視点で見れば、死体を射殺しようとしたのであって、拳銃発射という行為からは絶対に死亡という結果は生じなかった事案です。

これが、「殺人行為」に該当し、殺人未遂になるか?(死という結果は発生しないので殺人既遂罪にはなりません)

 

結論は、殺人未遂になるというのが裁判所の考え方です(しかし、殺人行為ではないとする学者も多数おります)。

 

法律家ってこんな勉強をしているんです。

 

 

 

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